下記の人を対象としています。
- これから育休を取ろうと考えているパパ
- 業務が忙しくその時にならないと育休が取れるかどうかわからないパパ
- 育休による給与減が気になるパパ
記事のポイントです。
2015年に育休を取ると上司に伝えたのに取得直前にプロジェクトリーダーを任命されたまろです。当時の上司は育休の大変さを理解していなかったようで、結局私が工夫してやりくりしながらなんとかしました。自分自身が育休について理解しておくだけでなく、周りの理解を深めていくことも大事なのだとそのときに感じました。
仕事が忙しくて育休を取れない、周りの理解がないことへの悩みはよくわかります。
早めに動いていてもまろのようなこともあるからね。
この記事では厚生労働省の育児・介護休業法についてをベースに育休を取得するパパ、ママの視点での産後パパ育休制度について書いています。政府としては法を企業に守ってもらうために企業向けに資料が作られています。そのため育休を取得する立場で見たときにこれまでと何が変わるのかについてお伝えします。
育休を取得することは決まっているけれど期間をどうしようと悩んでいる人には下記の記事も参考にしてください。

産後パパ育休制度ができた背景

『産後パパ育休制度』、正式には『出生時育児休業制度』ができた背景を見ていきましょう。通称に『パパ』と入っているくらいなのでパパの育休取得を促進するためにできた制度となっています。この制度ができるきっかけは下記のようなことでした。
- 男性の育休取得率が政府目標に対して低い
- 男性が育休取得を望んでも取得できない理由がある
- 会社としてのサポートが弱いもしくはない
男性の育休取得率の低さ
2021年度で男性の育休取得率は12.65%(女性は81.6%)です。取得日数は男性の中央値が5日以上2週間未満(女性の中央値は10か月以上12か月未満)となっています。(出所:厚生労働省「雇用均等基本調査」)
最近では私の職場でも職場に女性が増えたり、部長が40代の方に変わったりして少し雰囲気が変わってきています。一方、私が育休を取得したときはほぼ女性がおらず、役職者は50代の方ばかりですので育休を取りづらかったですね。
育休取得を希望するが利用できない

育児休業制度の利用を希望したが利用できなかった割合は37.5%。そのうち、会社に制度があり利用を希望をしたのに利用できなかった男性の割合は24.7%、利用を希望したのに会社に制度がなくて諦めた男性の割合は12.8%でした。(出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(平成30年度))
会社に制度がなければ育休を取れないのはもちろんですが、制度があっても制度を利用できないということは他にも要因がありますね。
周りのサポートがない
男性がパートナーの妊娠・出産を会社に伝えたときに会社から何らかの働きかけがあったかに関してのアンケートで会社からの働きかけが特にないと答えた割合は63.2%でした(女性は20.2%)。
出典:厚生労働省委託事業「令和2年度仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(株式会社日本能率協会総合研究所)
何もないということは社内に制度があるかどうかを自分で調べないとわからないですし、どんな選択肢があるのかも一人で考えないといけません。男性が育休を取得するためにはがんばらないといけなかったわけですね。
私は当時組合の執行委員だったので人事経由で育休取得状況や制度について確認できましたが、一般の社員だと人事とのつながりも少ないので一人で考えるには荷が重いですね。
昔は地域で子育てする感覚があったようだけど育休の取得に対しては会社で子育てする感覚に近いね。
他にも社内に育休を取りづらい雰囲気がある、業務が属人的になっているなどの要因についても周りのサポートがないと言えます。
産後パパ育休制度の概要

そのような状況を是正するために産後パパ育休の制度が創設されました。2022年10月からの施行です。
産後パパ育休制度は育児・介護休業法の改正内容の一つ
育児・介護休業法の改正の中の一つとして産後パパ育休制度が創設されました。今回の育児・介護休業法の改正にはいくつかの内容があります。産後パパ育休の内容をお伝えする前に全体像を理解しましょう。厚生労働省の資料の並びだとわかりづらかったので時間軸での並び替えと抜粋、パパ・ママの視点での表現に変えています。
すぐできることを2022年4月からスタート
会社ですぐに取り組むことができる下記内容が2022年4月から施行されています。
- 会社が育休が取りやすい環境を作る
- 従業員がパートナーの妊娠・出産を伝えたら社内制度を教えて育休を取るか確認する
- 有期雇用労働者も育休が取りやすくなる
上2つは義務化されますので社内で育休に関する制度がきちんと整備されます。加えて周りからのサポートが増えるでしょう。上司から「育休取るか?」と確認してくれるだけでもかなりの後押しになりますね。
整備に時間がかかる内容を2022年10月からスタート
社内で制度を準備するなど時間がかかる下記の内容が2022年10月から施行されます。この中に産後パパ育休が含まれています。
- 育休より柔軟な産後パパ育休が取れるようになる
- 育休が分割して2回まで取得可能になる
これまでの育休、産後パパ育休ともに分割して取ることができますが、産後パパ育休では初めにまとめて申し出ることが必要です。通常の育休であれば都度申請すれば大丈夫です。
産後パパ育休制度の詳細

- 子どもが生まれて8週間以内で最大4週間まで取得可能
- 最初に言っておけば2回に分割して取得可能
- 取得2週間前までに取得の意思表示を行う
- 労使協定で期間中の就業が認められていて労働者が希望する場合、仕事することが可能
会社と組合で結ぶ労使協定によって認められること、認められないことが変わってきそうです。そのため、組合がある会社では、組合役員や窓口に相談するといいでしょう。おそらく、2022年10月の施行までに労使協定に産後パパ育休制度に関する内容が記載されるはずです。
制度の調査で組合副支部委員長の経験が役に立ちました。
組合は時代遅れと言われることもあるけれど会社とのルールに関して組合が担っている役割は大きいね。
どんな人が産後パパ育休を取ればいい?
長期間職場を離れるのに不安があったり、仕事が忙しくなりそうな場合には通常の育休ではなく、産後パパ育休取得を検討してみるのがいいと思います。労使協定によりますが、休業中の業務も認められますので仕事に対する不安は和らぐのではないでしょうか。
子どもと関わる貴重な時間なので私が次取るとしたら通常の育休を取ります。
通常の育休との違い
通常の育休と産後パパ育休の違いを表にしました。
産後パパ育休 | 通常の育休 | |
対象期間 | 子の出生後8週間以内 | 原則子が1歳(最長2歳)まで |
取得可能期間 | 最大4週間 | - |
申出期限 | 休業の2週間前まで | 1ヶ月前まで |
分割回数 | 2回(最初に申請) | 2回(取得時申出) |
休業中の就業 | 本人が合意した範囲で就業可能 (労使協定締結必要) | 原則就業不可 |
休業給付金 | 休業開始時賃金×67% | 休業開始時賃金×67% (180日経過後50%) |
大きな違いは取得期間と休業中の就業ですね。労使協定締結が必要という条件がありますが、仕事が気になるパパにとってはこの条件があるだけで育休を取りやすくなると思います。一方で休業中の就業日数が一定レベルを超えると休業給付金が給付されなくなるので注意が必要です。28日間取得する場合は10日まで就業可能、取得日が少ない場合には割合で就業可能日数が変わります。
給与減が気になる場合の裏技

私が育休を1ヶ月取った際は正確には育休ではなく有給休暇でした。1ヶ月だと20日ほどなので、有給休暇がたまっている場合には対応できる範囲でしょう。育休取得期間が短い場合、上司や人事の理解が得られている場合にはご検討ください。
最後に
育児・介護休業法が改正されたことで産後パパ休業法が創設されました。国の後押しで企業が変わり、一人でも多くの人が育休を取得できると私は嬉しいです。人は自分が経験することではじめて理解できます。チャンスと捉えて是非育休取得を検討してみてください。
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